研修で外部会場を借りるメリット
もし、日常的に研修を実施していないのであれば、思い切って外部の貸会議室を使いましょう。
この方が、会社の研修に対する姿勢(本気度)を受講生に見せることにもなりますし、職場から離れるので受講生の気分も変わります。
また、職場内だと、つい仕事に気がいってしまったり職場から呼び出されたり…と研修に身が入りません。
研修会場は基本的に研修を実施する企業様(以後、クライアント)が予約・準備します。
研修を自社の会議室を使って実施する場合が多いのですが、研修にはいろいろな備品が必要になります。
外部会場は会議室の大きさが適切、設備が整っている、ホワイトボードの追加やお弁当の手配、事前の教材類の受け取りをしてもらえる、その他数々の要望に臨機応変に対応してもらえるなど、クライアントの研修担当者にとってメリットが豊富です。
また、立地の良いところにあるため、交通に便利、コンビニが近くにある、昼食場所にも便利など受講生にとってもメリットが多いのが特徴です。
貸会議室の広さと利用時間を確認する
外部会場の選定でつい目が行ってしまうのが、貸会議室料金でしょう。
しかし、料金に目を奪われて少しでも低予算で…と優先順位を料金に置くと、思わぬところに落とし穴があります。
気を付けて頂きたいのは会場の『広さ』と、『利用時間』です。
貸会議室の広さ
多くの貸会議室では“〇〇名収容可能”とか、“収容人数10~30名”などの表記がありますが、通常この数値は『スクール形式』と言って、学校のように長テーブルに3人掛けしたもので計算されています。
短時間の講演ならまだしも、大きな大人が机に3人掛けして朝から夕方までの一日研修はしんどいもの。
狭い座席配置のために集中力が途切れて「早く終わらないかな…」と思うようでは困ります。
基本的に長テーブルには2人掛けが基本中の基本と心得ましょう。
また、研修でグループディスカッションやケーススタディ・演習・ゲームなどのアクティビティを取り入れるなら、スクール形式ではなく『島型(アイランド形式、グループ形式)』と言うスタイルを取ります。
通常は長テーブルを二つくっつけて4人掛けが多いのですが、机を真上から見ると英語の『Tの字』にして、5名または6名で1島(グループ)にするケースも多くあります。
ここで問題なのは、島型にすると隣の島との空きスペースが必要となるため、貸会議室の最高収容人数を大幅に下回る人数しか収容できないこと。
一般的には、スクール形式の約半分程度(もしくは、50~60%程度)しか収容できません。
隣の島との間隔が狭く過ぎると、背もたれと背もたれが当たって窮屈なうえに休憩時の立つ座るが不便。
講師が島の間を通れず島に対する指導ができない。持参したカバンを床に置くため椅子で踏んづけてします…などなど。
貸会議室を利用する場合は、できるだけ余裕を持った広さの教室を確保しましょう。
ちなみに大手の研修会社の場合、通常ビジネスセミナーを開催している教室が空いていれば教室を貸し出してくれることもあります。
ただし、ほとんどが有料であり近隣の貸会議室とあまり会場料金は変わらない金額設定をしていることが多いようです。
しかし、研修会社の施設ですし会場準備の手間も研修と一緒に行えますので大変便利な存在です。
一度、研修会社の営業担当者に尋ねてみてはいかがでしょうか。
貸会議室の利用時間
なるべく、コストをかけずに研修実施したいのは教育担当者だけでなく皆さんが感じておられることと思います。
通常、外部会場は“時間制”をとっているケースが多く、一時間〇〇円や、朝間・昼間・夜間などに分かれて料金設定されていることも多くあります。
ここで大切なことは、研修時間とは研修を実施している時間ではなく、準備や開始前のトラブル、早く会場に到着する受講生がいること、思わぬ事態で研修終了が後ろに延びたり、後片付けの時間などを考慮して借りなくてはいけないということです。
通常一日研修の場合は、9時開始~17時(もしくは17:30)終了が多いと思います。
この場合、できれば朝8:15には教室のカギを貰って入室したいものです。
研修で貸会議室を借りる際の注意事項
貸会議室に入室して研修開始までに準備すること
入室したら、まずは教室内が指定した受講生人数分の座席配置(スクール形式や島型など)になっているかどうか?の確認。
効果にタイムラグのある教室内の室温調整もこの時間に行っておきます。
次に本日必要な資料や備品類が到着しているかを確認して、当日使用するテキストやレジメを各机に配布を行います。
それが終われば、そろそろ講師がやってくる時間(講師は通常開始30分前頃に教室入りします)なので、講師の水の用意、講師が到着すれば投影用データがきちんと映るかどうか、音声が出るかどうかをPCとプロジェクターを接続して確認します。
講師とは部長の挨拶や講師紹介についてなど、冒頭の時間の使い方を打ち合わせたり、途中のお手洗い休憩の時間、昼休憩の開始時間や所要時間、終了時の事務(アンケートを取る、事務連絡の有無など)連絡、教室の原状復帰が必要かどうかなどの打ち合わせを行います。
貸会議室を借りる際に多いトラブル
特に多いトラブルが、『パソコンからプロジェクターにデータ信号が行かず、投影できない』と言うもの。
これは外部会場でも社内会議室でも非常に多いトラブルで、この解決にはとても時間がかかるケースがほとんど。
外部会場ですと、受付から技術の人を呼んでもらってケーブルを交換したり、プロジェクターを交換したりするケースも多々あります。
こう考えると、研修会場に入室してから研修開始までには、それ相当の時間が必要なことがわかりますね。
研修終了時の注意事項
終了時も同じで、事後課題の説明やアンケートの記入、事務連絡で結構時間を取ることが多いのが実情です。
研修終了後に講師が受講生の質問に応えたり、撤収作業でも時間はかかるので、17時終了の研修なら会場の返却は1時間後の18時まで予約をしておきましょう。
公共施設の貸会議室を借りる際の注意事項
特に気を付けたいのが、〇〇会館や〇〇学習センターなど、自治体や行政が運営している会議室を研修会場にする場合です。
通常、公共施設は8:45分くらいからしか鍵の貸し出しを行っておらず、9時研修開始だと非常にバタバタしますし、早く会場に到着した受講生や研修講師は、鍵が開くまで外で立って待っている…など研修開始前に疲れてしまうことも起こりがち。
公共施設利用で特に気を付けたいのが“終了時間”です。
公共機関の場合は研修終了時のカギの返還も時間厳守で厳格な場合が多く、時間が来ると係員が来て退室を急き立てられます。
加えて、何かの理由で研修が後ろに延びたり後片付け(通常、公共施設の場合は机の原状復帰も必要)が間に合わなかったりすると、夜間の教室利用団体が外で待っていたりすることもあります。
正直なところ公共機関の会場を利用した企業研修は、不向きであると断言しても良さそうです。
研修で大切なことは「余裕」
研修で大切なことは、【余裕】です。
会場の広さの余裕、研修時間の余裕、詰め込み過ぎないカリキュラムの余裕、受講生人数を過剰に多くしない余裕、そしてクライアント事務局の心の余裕です。
ぜひ、研修会場と時間の関係も考慮に入れて会場確保をしてみてください。