「研修で習ったことをMEMOするので、研修中もパソコンを使用してもよいですか?」と聞かれることがあります。
当社では基本的に研修受講中のPC使用はお断りしています。
これは、本人のためでもあり同じグループメンバーのためでもあります。
当社の提供する研修は単に知識付与するだけでなく、付与した知識が身についているかどうかを演習で確かめたり、ロールプレイングで実際にやってみたりすることに重点をおいています。
しかし、パソコンを開いていると、どうしてもキーボードを打つことに意識がいってしまいグループメンバーとのバーバルおよびノン・バーバルなコミュニケーションが少なくなるのです。
時には講師の講義をPCに入力するだけでなくグループディスカッションの討議内容まで入力し始める受講生も居たりしますが、これでは議事録を取っているのと同じです。
他者の意見を自分の頭の中で消化したり、自分が話すことに対して他のメンバーがどのようなフィードバックをしているのかを肌で感じること等ができなくなってしまいます。
グループメンバーから見ても、真剣にお互いが顔を合わせて討議している状況で、半分は討議に参加、半分はPCに意識を向けている受講生は“仲間”として意識しずらく討議にも支障をきたすのです。
必要なことは “研修とはインプットだけでなく、アウトプットする場である” と、言う理解です。
「お金を払って受講しているのだから、なるべくたくさんの情報を持ち帰ろう(インプットしよう)」…と、思う気持ちは大切ですが、人間は話したり書いたりすることで頭の中が整理され、習得した知識が脳に焼き付けられます。しかし、入力と言うインプットだけだと、習った気はするけれど覚えていないのが現状です。
不思議なもので『書く』と言う作業は頭の中の言葉を紙にアウトプットする行為ですが、『キーボードを打つ』と言う作業は、パソコンにインプットさせているだけの行為であって、自分の頭の中にはインプットもされず、インプットがないので、ディスカッションでのアウトプットは思い付きレベルとなりがちです。
そして、研修終了後は、本来であれば学んだはずのことが、ただ文字になってパソコンのハードディスクに入っている…と言う状況になっているのです。
「研修中に手書きしたものを、後からPCに入力するより、直接PCに入力した方が効率的」と思うかもしれませんが、これでは手間は省けるものの受講生の頭の中には入っていかないので、本末転倒なのではないでしょうか。
研修でパソコンを使用するのは演習でネットに繋いで情報を収集するときに限定して、通常の研修ではパソコンの電源はOFFにしましょう。
研修でスキルアップするのはパソコンやAIではなく、受講生自身なのですから。