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テレワーク導入による従業員の個室化(前編)

本格的にテレワークが始まって、約1年。
昨年4月の導入期、新型コロナウイルス第二波によるテレワーク拡大期、冬に始まった第三波による定着期を経由して、今は見直したり改善したりする時期にきているようです。

テレワークの導入に関して各社が実施企業にアンケートを取っていますが、その結果はおおよそ想像のつくものばかり。

「感染予防になる」という新型コロナウイルス対策としてスタートしたテレワーク独特のメリット以外に、通勤時間が不要になった、通勤のストレスが減ったと言う仕事の準備段階でのムダが排除できたメリット。

仕事そのものに対するメリットとしては、集中して仕事ができる、ムダな雑談がなくなった、など会社に出勤して仕事をしていた中で発生するデメリットを排除でき、仕事の効率化や不要なストレス軽減がメリットとして感じることなど。
ただし、これらはテレワークを実施すれば、このような結果になるだろう…と推測された事象でしょう。

メリットに反してテレワークのデメリットとして、従業員同士のコミュニケーションが取りずらくなった、上司や出勤している同僚から「サボっているのでは?」と、思われるのではないか?というテレワーク従事者の不安要素が多いこと。
管理者側からは日常の評価や考課をどのようにすればよいのか分からないということに、デメリットを感じる人が多くおられるようです。

私はこれらのメリット、デメリットはテレワーク従事者の『個室化』という現象だと感じています。

多くの企業には社長室や重役などには役員室という専用の個室が設けられていますが、テレワークはまさにこの個室が、全テレワーク社員に与えられている状況だと言い換えられるのではないでしょうか。

社長や重役は、個室に入ってしまえば周囲からの雑音に惑わされることなく自分の業務に集中できます。
当然、ムダな雑談はないでしょう。

その反面、部下や社員とのコミュニケーション量は必然的に減り、見えない個室の中では頑張っているのか、サボっているのかはわかりません。

つまり、社長や重役が社内に個室があるように、私たちにも(設置されている場所こそ会社所在地ではないものの)自宅やサテライトコワーキングスペース、電車や新幹線、飛行機の中、カフェなどのワーキングスペースをはじめとした「自由空間(=個室)」の中で業務を行っているような状態。

当然のことながら、社内で日常的に発生する不要な雑談や電話応対などから解放されて、集中して仕事ができるというメリットがあります。

通勤が不要になり、通勤時間と通勤ストレスの軽減、通勤のための衣類が不要になるなど仕事の準備が効率化できることについで、余計な雑念や雑音、雑談に邪魔されずに自分のペースで業務遂行ができるのは、テレワークの大きなメリットとしてあげられます。

その反面、周囲とコミュニケーションを取りたくても簡単にやり取りが出来ず、なんでもネット上でオフィシャルなやり取りを行わなければならない、相手の顔や表情が見えないことによる不安、テキスト上でのやり取りで上手に意思や想いが伝わるかどうかの不安など、コミュニケーション上の問題点も多くあげられます。

加えて、上司からすると職場のように目の前に部下が居ないので、部下に対する評価がしづらい、更には評価の仕方が分からない…と言った悩みも多く、当社に寄せられる研修案件にも「リモートワーク解決研修」と題する依頼もいくつか頂戴するようになりました。

ここで評価する側も、評価される側もしっかりと認識を変化させなくてはならないことがひとつあります。
その内容は後編で。

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この記事を書いた人

1962年生まれ。大手旅行会社でセールス、外資系企業でマーケティング、人材教育会社でキャリアコンサルタントを経験後に独立起業。管理職を始めとした階層別研修と、部下指導、問題解決、ロジカルシンキングなどのスキルアップ研修の企画運営を行う。起業後20年間で33,000名以上のビジネスプロフェッショナル人材の育成に貢献してきた。
・1級キャリアコンサルティング技能士
・国家資格キャリアコンサルタント
・職業紹介責任者、他、資格多数保有

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