階層別研修の中で、特に新任の管理職研修のカリキュラムにMBO(Management By Objectives and Self-Controle:目標管理制度)の知識は欠かせません。
これは、自社が目標管理制度を導入している、導入していないに関わらず指導者として必要な知識であると考えるからです。
しかし、目標管理制度を「新任管理職研修」にカリキュラムとして入れるのは、実はそんなに簡単ではないのです。
導入していない企業の管理職には、これから必要になる知識である旨お伝えした上で内容を説明しますが、あくまでMBOの重要な考え方やキーワードをベースとした知識重視のカリキュラムとなるため、現実感が不足することは否めません。
反対に既に導入しているクライアントであれば、その概要は知っているので研修カリキュラムでは、その先のお話しをしなければなりません。ここで、クライアントに共通の悩みが出てきます。
それは、多くのクライアントで「目標管理制度がうまく回っていない」こと。
つまり、目標管理制度を導入したのは良いけれどあまり有効的に機能していない現状がある中で、このセッションを実施すると言うことは、このカリキュラムは目標管理制度の問題解決に重点を充てる結果となるからです。
もちろん、研修での問題解決は受講生にとって当事者として問題提起されその解決策を思考するという点では非常に有効です。
しかし、短い時間での新任管理職研修では、マネジメントに始まり、リーダーシップやフォロワーシップ、人材育成の考え方、部下指導の手法などやるべき内容が盛りだくさん。
とても、MBOだけに十分な時間を取ることができません。
また、目標管理制度がうまく行っていないと感じる背景には、その企業の文化や風土、特に部門内のコミュニケーションや上司部下との関係性などが大きく関わっていると感じられます。
つまり、目標管理制度を上手に運用するためには、これらの諸問題を時間を掛けて少しずつ変化・変容させる必要性があるからです。
新任の管理職には、まず求められることをキチンと理解して管理職としての知識を得て、吸収した知識を職場実践して自分自身と職場の経験値向上とスキルの向上をはかり、その上で上司や部下との良好なコミュニケーションが取れる風土づくり行い、この状況と並行して目標管理(=MBO)を実践していく。
この手順が必要です。
目標管理はManagement by Objectivesではありますが、Self-Controle(=社員の自律)が抜け落ちないようにしなければなりません。