セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント。
さらに、近年はカスタマーハラスメントへの対応も強く求められるようになり、ハラスメントは法律や指針によって一定の整理がなされてきました。一方で、最近は何にでも「ハラスメント」という言葉が付けられ、本来の意味や意義が曖昧になってきているのではないか、と感じることもあります。
私はビジネスセミナーや研修の冒頭で、よくこう問いかけます。「セクシュアルハラスメントは、法律でどのように定義されていると思いますか?」すると驚くことに、多くの方が「明確な定義はない」と答えられます。この傾向は、ここ10年以上ほとんど変わっていません。しかし実際には、セクシュアルハラスメントは男女雇用機会均等法に基づく指針において定義・整理されており、パワーハラスメントも、労働施策総合推進法により、その定義が明確化されています。
上記の3つのハラスメントは「なんとなくの感覚」ではなく、一定の基準や概念が存在しており定義づけられています。にもかかわらず、正しい理解が十分に浸透していないために、ハラスメントを起こしてしまう反面、昨今ではハラスメントを過度に恐れる傾向が生まれています。「余計なことを言って加害者になるくらいなら、関わらないほうがいい」「業務以外の会話は控えよう」こうした考え方が、最近の現場で広がっているのも事実です。
危険なことにコミュニケーションの量が減れば、一つひとつの言葉の重みは増します。言い直しや関係修復の機会も減り、結果として言葉の影響はむしろ大きくなります。
言葉には消しゴムがありません。
だからこそ、本来は日常的な対話の中で関係性を築き、多少の行き違いがあっても修正できる状態をつくっておくことが重要です。コミュニケーションが減少した組織では、相手の言葉を必要以上にネガティブに受け取り、結果として職場の空気が硬直してしまう可能性が高くなります。
続きは、また次回。
