もちろん、研修会社との値段交渉は可能です。
研修は典型的な労働集約産業。会場費以外のほとんどの経費は『人件費』。
つまり原価は講師に支払う『業務委託費』程度で、それ以外にかかる直接的な営業経費はほぼありません。
つまり、純粋に売上=粗利益。
と、言うことは、クライアントへの売価を原価ギリギリまで下げることが可能ですし、原価である講師への支払い(=講師料)を叩けば、更にクライアントへの見積額は下げることが可能。
では、実際のところはどの程度まで研修を安くすることはできるのでしょうか。
まず、個人(講師)に直接研修を依頼するケースを考えてみましょう。
行政や官庁が研修や講演を依頼する場合、実は講師料基準があり一般的に大学教授の一回講演あたりの支払額をベースにします。
この支払額は、約90分~2時間で約20,000円。
一日研修だと6~7時間で60,000円+消費税や交通費と言う金額が多数を占めます。
官庁、行政、自治体、教育委員会などではこれがガイドラインになりますので、逆に講師側が値段を上げてもらうように交渉しても金額は変わりません。
依頼する担当者の方が「安くてすみません」と申し訳なさそうに頭を下げている姿も良く見ます。
この金額はベテラン講師にとって、魅力的とは言えません。
全体的に真面目な人が多いので、講師料が安くても手を抜く講師はあまりいませんが、相場よりかなり安い講師料は、さすがにモチベーションには影響するかもしれませんね。
結論として、講演・セミナー・研修の講師料は、この金額より安くすることは難しいと言えるでしょう。
しかし、ベテラン講師がこの金額でもモチベーションを高く、ヤル気を出して臨む講演や研修、セミナーがあります。
それはズバリ、“この会社での研修やセミナー実績が、自分の宣伝になる”。
つまり、クライアントが誰もが知っている超大手・有名企業であるケース。
有名企業を担当することは講師の広告宣伝になりますから、先ほどのような金額でも請けるケースは多々あるようです。
では、民間研修会社に対して、この金額で研修を依頼することは可能でしょうか。
研修会社が入るとこの金額ではビジネスとして成り立ちません。
有名企業とお付き合いしたいのは研修会社も同じですが、ビジネスとして成り立たせるためには、やはり講師料の最低2倍~5倍程度は利益の上乗せが必要です。
研修会社の見積り額を安くするためには、他社とのコンペ案件に持ち込んだうえで、同じ研修を一年間に何度も実施する(手間が省ける)、他の階層研修も今回お願いした研修会社に委託する(営業活動が効率化できる)、グループ会社を紹介する(ヨコ展開)、カリキュラムを研修会社に丸投げする(あまりお勧めはしませんが、研修会社としてはラク)などの、別条件の“おいしい話付き”で交渉してみましょう。
もし、その研修会社があなたの会社とお付き合いしたければ、多少の値段交渉に乗ってくる可能性は十分にあります。
逆に、「この(見積り)金額から一切ディスカウントできません」と言われたら、それはその研修会社のポリシーか、「残念ながら当社は、御社とはお付き合いしたいとは思いません・・・」と言う意思の表れかも知れません。
結論:研修会社から出される見積金額からは、あまりディスカウントは期待できない。