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テレワーク導入による従業員の個室化(後編)

今回のお役立ちコラムは前回に引き続き従業員の個室化によって、管理職である評価者と評価される側の部下の両者とも変化させなければならない意識についてです。

テレワークをしている従業員は物理的に管理者の目の前で働いているわけではありません。
いわば、社長や重役が個室の中で業務を遂行しているのと同様に、従業員もワークスペースという個室の中で業務を遂行しているので、上司が部下の行動を逐一観察して評価することが出来ない状態ともいえるでしょう。

では、常に個室に入って業務をしている経営陣に対し、株主をはじめとする外部のステークホルダーは何を観てCEOを評価するのか?と言うと、それはまさに会社の業績。
どれだけ、売上を上げたのか?どれだけ利益を出したのか?そして、ステークホルダーに対してどのくらいのリターンをしてくれるのか?と言う「結果」しかありません。
会社役員はこんなに頑張っているのに、こんなに仕事をしているのに…と言っても、見えないものを評価のしようがないのです。

従業員の個室化は、まさにこの経営陣と同じ状態を従業員に課しているといっても過言ではありません。

雨に濡れてびしょびしょになりながら、営業から戻ってきた営業担当者。
決算期に深夜まで残業してデータを扱う経理財務。
採用時期や入社時期、異動時期に業務多忙となる人事担当者も、その成果が見えなければ評価のしようがありません。
つまり、現在のテレワーク化においてどのように評価するのかとなると「業務成果」が中心とならざるを得ないのです。

業務成果を中心とした評価に移行しつつある現在のテレワークの推進は、ある意味において昔ながらの典型的なサラリーマンには大変つらい時代になってきたと言えるでしょう。

時間通りに出社して会社からの通達や上長からの指示命令には素直に従い、与えられた業務だけを言われた通りに言われたやり方で遂行する。
ただし、あくまで上長の命令に沿って仕事を進めているだけなので、その責任(成果)を個人に問われることには不満を感じる。

給料は成果に関わらず出勤した時間分だけもらうので、業務の効率化や生産性を高めるという「質の向上」はイコール業務量が増えると感じているので抵抗をしめす。
上司も仕事がやり難くなるので、評価といってもあまりシビアにはつけたくない。
「成果はいまひとつだけれど、アイツもそこそこ頑張っているみたいだしね」で、S-A-B-C-D-Eの5段階評価ではA’(エーダッシュ)をつける。

しかし、これからの時代は業績評価とBillable(ビラブル)が問われる時代。

どれだけ働いても(=動いても)成果がでなければ、それはカウントされず最低限の月給しかもらえない。
その分、短時間で最大の成果をだして組織貢献している従業員には、成果に応じて報酬が支払われるという真の成果報酬時代がやってくるでしょう。
意識としてはサラリーマンというより、個人事業主として企業と案件ベースで契約しているぐらいの感覚が必要になってくると思います。

また、管理職や上司においても的確な指示命令を出せるように、意識改革とスキルの向上が必須となり、組織としてもキチンと成果を公正に評価できる評価システムの構築も必要です。

数年単位で観た場合、このような意識と制度を持った企業と経営陣や管理職。
そして、これらの人達のもとでbillableに働く従業員のいる企業こそが、ウイズコロナ、アフターコロナに生き残り、台頭していく時代が目の前にやってきています。

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この記事を書いた人

1962年生まれ。大手旅行会社でセールス、外資系企業でマーケティング、人材教育会社でキャリアコンサルタントを経験後に独立起業。管理職を始めとした階層別研修と、部下指導、問題解決、ロジカルシンキングなどのスキルアップ研修の企画運営を行う。起業後20年間で33,000名以上のビジネスプロフェッショナル人材の育成に貢献してきた。
・1級キャリアコンサルティング技能士
・国家資格キャリアコンサルタント
・職業紹介責任者、他、資格多数保有

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